円安は金利差の反映だけでない、米国の「優位」示すドル高Photo:Bloomberg/gettyimages

円安は金利差の反映だけでない
米国の「優位」示すドル高

 今年、1ドル115円台で幕を開けたドル円相場は、3月に120円台に乗せた後ほぼ一貫して円安方向に進み、5月には130円台、9月には140円台をそれぞれ突破、10月20日には遂に1990年8月以来となる150円台に乗せた。

 年初来の円の対ドル下落率は、30%を超えるまれに見る大変動に、日米金利差が大きく作用していることは間違いない。

 日本銀行は10月の政策決定会合でも「緩和維持」を決め、逆に連続で大幅利上げを続けている欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)との政策の逆方向が際立つ。

 世界のアウトレイヤーとして金融緩和に固執する日銀を見れば、投機筋が安心して円を売ってきたのも理解できる。

 円安の要因には貿易赤字の定着や投資マネーの海外流出、インバウンドの消失、日本経済への失望観なども挙げられるが、短期筋が好んで採り上げる最大の材料が金利差であることは否定できない。

 だが今の為替市場の動向が金利差だけを反映しているわけではない。

 経済の力強さやエネルギーを自給しウクライナ侵攻などの地政学要因にも影響は少ない米国経済の強さや優位性に焦点が当たっている状況だ。一方で、経済停滞が続き財政・金融政策運営の稚拙さが目立つ日本は先の見えない「円安時代」の序章に入った感じがする。