コンビニとの蜜月は過去のこと
コンビニを憎み、スーパーを愛する男性

 連日値上げが続く中、Bさん(47歳男性)は急にコンビニを憎みだした。チャンスがあれば、コンビニで軽食や弁当を買い堪能していた、コンビニを崇拝する人物が、である。
 
「いろいろなものが高くなりすぎて、消費者に寄り添っていない」とBさんは主張する。値上げは世の中全体に起きていることなので、コンビニだけの罪ではないのだが、Bさんはコンビニとの距離が近すぎたために、コンビニのみを許せなくなってしまったのである。
 
 たしかにコンビニの商品は高くなった。筆者はよくおにぎりや弁当を買うが、ちょっと前まで400~500円だった弁当が、今や600~800円するくらいの印象である。
 
 コンビニを憎むようになったBさんは、もうコンビニには足を踏み入れなかった。「客の入店を知らせるチャイムすら、客を陽気なメロディーで小ばかにしているようで腹が立つ」とのことである。
 
 Bさんがコンビニの代わりに向かった先はスーパーであった。そこでスーパーの素晴らしさを発見し、「スーパーこそ楽園」と熱弁するまでになった。
 
「食べ物と飲み物すべてが、コンビニより格段に安く手に入る。
 
 特に値引きシールが貼られた弁当は最強。360円の弁当に半額シールが貼られれば180円となり、コンビニのおにぎり1個の値段と同じになる。この状況下でスーパーの半額弁当を買わないという選択肢はない」
 
 コンビニは基本的に値段を崩さないが、スーパーはそもそもの値付けがまちまちで、ここに値引きシールが混ざってくるといよいよ流動的となる。それが「今日はいくら節約できるのか」というワクワクにもつながるらしい。
 
「コンビニの食べ物はおいしいが、スーパーもかなりおいしい。物によってはコンビニの画一的な味を凌駕するものもあり、それを探すのも楽しみの一つ」

 節約のアプローチは無数にあり、その効果のほどもさまざまだ。しかし、実際の節約効果は別にして、AさんもBさんも自分の節約方法を気に入り、楽しんでいる点が素晴らしい。物価上昇に対する不安が立ち込める昨今、自分なりの楽しみ方を見つけて前向きに対処しようとしている姿勢には学ばされるものがある……と感じた。

 それもこれも含めて値上げにあらがいたくとも、あらがいきれない市民たちの悲哀を感じるのであるが、令和4年を生きる民たちのリアルな現実として、ここに書き残しておきたい。