コンサル“ビッグ4”の一角、デロイト トーマツ コンサルティング。同社の大学別の新卒採用比率を見ると、実は慶應義塾大学の比率が最も高い。なぜ、同社は慶應生を最も多く「採る」のか。特集『最強学閥「慶應三田会」 人脈・金・序列』(全17回)の#11では、自身も慶應の環境情報学部出身である佐瀬真人社長に、「慶應」と「コンサル」の親和性を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
デロイト社長が語る
SFCとコンサルの関係性
――佐瀬社長はSFC(湘南藤沢キャンパス)の環境情報学部出身だそうですね。どのような学生生活を送られましたか。
学生時代、私はバイクが好きでよく乗り回していましたね。
1年生の春休みのときかな。トラックメーカーのいすゞ自動車で期間工として2カ月弱働いたことがあるんですよ。1日200台ぐらいがラインで流れてきて、1台当たり10~20の部品を取り付けるというのを、1日中ただひたすらやる。なかなか、強烈な体験でした(笑)。
でも、これは後の社会人生活において、非常に大きな原経験になりました。学生がそうした製造の現場に直接タッチする機会はないじゃないですか。自分の父親と同年代の人や高校を出たばかりの若者が、一心不乱にものづくりに打ち込んでいる。この独特な雰囲気ばかりは、体験してみないと分からない。
結局、50万円ほどの給料をもらいましたが、それはバイクの購入資金に充てました。
大学の勉強より「社会勉強」ばかりしていた学生生活なのは確かですが、一方で印象に残っている授業もあるんですよ。
例えば、現役の経営コンサルタントが講師で登壇するコースが当時あったんです。今でも覚えていますが、そこで講演してくれたのが、“コンサルティングの元祖”である堀紘一さん(ドリームインキュベータ創業者)でした。ものすごく人気の授業で、講義は一番大きなホールで行っていました。
広告代理店の現役クリエーターが担当する授業とかもありましたし、“アカデミック”よりは、“ビジネスサイド”に近いような授業に魅力を感じていました。
――SFCはそうした多角的なカリキュラムが特徴ですね。
次ページでは、佐瀬社長が学生時代での学びを通じて感じたSFCのカリキュラムとコンサルとの親和性や、自らがトップを務めるデロイト トーマツ コンサルティングで慶應生の採用が最も多くなっている背景について説明する。また、今後、新卒採用の方向性に関しては、採用人数の確保よりも重視していくポイントを明らかにする。