「たばこ休憩はズルい」
喫煙者への恨みつらみ

 たばこ休憩はズルく感じられるというだけではなく、戻ってきた際の臭いが気になるという投稿が見られた。また、喫煙を続けることによって、結局後で健康被害にあうのは本人だといった嫌みのこもった投稿や、喫煙者が不在となることで残った者が電話対応業務などが増えるといった指摘も見られる。たばこ休憩への指摘をきっかけに、喫煙者への日頃の鬱憤が噴き出しているようにも見える。

 筆者は喫煙者ではないが、もしも喫煙者だったとしたら昨今の風潮には非常に肩身が狭いだろうと思う。

 国立がん研究センターの統計によれば、喫煙者は減少傾向で2019年の喫煙者は男性27.1%、女性7.6%、男女合計で16.7%だという。男性の約50%が喫煙者だった1990年代と比べると、喫煙者は確実に少数派となっている。

 昭和の時代のドラマやニュースには、煙が立ち込めるオフィスでサラリーマンたちが仕事をしている様子がたびたび映る。当時は小中学校の教員室でも煙がもくもくとしていた。

 副流煙という弊害が知られる前までは、たばこを吸いながら仕事をするのが当たり前だった。90年代までは、飛行機や電車内でもたばこが吸えたことを知らないZ世代も少なくないだろう。 

 煙を吸いたくない非喫煙者の意見が強くなり、喫煙室が設けられるようになるとこれまでのように「デスクで仕事をしながらたばこをくわえる」ことができなくなった。すると今度は、たばこ休憩がけしからんと言われ始めるようになった。

 今回の万バズツイートに対する喫煙者の意見はあまりネット上で見つからないが、何をどう反論しても分が悪いとわかっているからなのだろう。ことほどさように、喫煙者への風当たりは強い。

 さらに言えば、喫煙者は若者よりも比較的年長者に多いと思われている節があるようだ。これは統計的にも20代男性より30代、40代男性の喫煙率が高いのだが、喫煙者の中でも気軽にたばこ休憩をとりやすいのが新人よりもベテラン社員あるいは管理職に多いということもあるのだろう。たばこ休憩を取る喫煙者への愚痴の背景には、面と向かっては言えない先輩や管理職に対する不満もこもっていそうだ。