日本のお家芸「スカスカ」食品はもうかる?

 日本における食べ物の「上げ底商法」は、政治や経済はほとんど関係ない。高度経済成長期、バブル経済、平成不況期などいつの時代も変わらない。事業者の規模も関係なく広まっている、極めて「ベタ」な売り方だ。

 例えば、高度経済成長期に問題なったのは、デパートなどの「スカスカ贈答品」だった。

 お世話になった人の結婚、出産、引越しのお祝いとして、果物や食品、赤ちゃんの衣類などを購入したところ、店で見た時は商品がぎっしりと入っていたのに、実際は発泡スチロールや丸めた紙などが大量に詰め込まれ「上げ底」にされていた…という問題だ。実際の商品が少ししか入っていないというような「被害」が多数報告されて、当時の通産省が動かざるをえなくなった。このことは『ゴテゴテ包装・上げ底追放 通産省やっと基準作り」(読売新聞1972年5月18日)というニュースにもなった。

 国民の生活がもっと豊かになった80年代になると、観光地での「スカスカ土産」が問題になった。会社の同僚や家族に土産物を買ったところ、箱を開けてみたらやはり緩衝材などがたくさん詰め込まれて中身がほとんどないという「被害」が多発。以下のように、役所や自治体とのイタチごっこが始まった。

●「“上げ底”辛子明太子、中身たった35%もーー公取警告」(日本経済新聞西部 1980年7月29日)
●「過大包装や上げ底で消費者惑わすなーー栃木県、単価表示などに県独自の基準作成」(日本経済新聞1982年6月12日)

 これらの「上げ底商法」は原料費高騰も円安も関係ない。追いつめられての「苦肉の策」というよりも、それぞれの事業者がもうかるという理由が全てだろう。

 つまり、コンビニのサンドイッチの「上げ底商法」も天下国家の問題ではなく、コンビニのFC本部がもうけたいから、そうやっているだけなのだ。

 では、そこで気になるのは、なぜ日本の事業者はこのような「上げ底商法」に流れがちなのかということだろう。