嘲笑されるTwitter日本法人の元広報たち

 マスク氏による改革は大量の従業員解雇を含むものであり、Twitter日本法人にもその大なたはふるわれた。11月5日はTwitter日本法人の広報部が全員解雇されたと報じられている。

 この報道を聞いて、なぜか喜んでいるのが一部のTwitterユーザーだ。

 原因のひとつは、Twitter日本法人がNHKで取り上げられた際に、社員が「Twitterばかり見ている」「飲みニケーションも大事な仕事」と発言した場面が切り取りで拡散し、一部ユーザーの嫌う「エリート」「陽キャ」、あるいは「仕事をしないのに高収入を得ている人たち」と判断されたためのようだ。もちろんこれは番組の一部の切り取りであり、印象操作めいている。

 さらに、解雇された一部の従業員のアカウントが発見され、その使い方について、あるユーザーからは「TwitterJPの面々は“Twitter”が下手」と評されている。このツイートは1.6万RT、3.7万いいねという多大な共感を得た。

 この投稿では、Twitterに対する批判や苦言に対していわゆる「マジレス」を返したり、注目されている状況にありながら、社内の内輪ノリでリプを飛ばし合ってしまう元広報担当者らの様子が揶揄(やゆ)されている。

 言論空間での揶揄や嘲笑は個人的にはあまり好きではないが、このようなノリを含む「表現」をユーザーの自由として提供してきたのは他でもないTwitter日本法人であり、これまでヘイトスピーチや誹謗中傷についても、はた目からは「放置」とも取れる惨状があった。元従業員たちが解雇された今になって、冷笑や攻撃的投稿の対象になることの苦痛を身をもって知ることになっているのだとすれば、皮肉としか言いようがない。

今後を予測しかねる多種多様なユーザーたち

 今回の騒動にちなみ、「TwitterはインスタやFacebookみたいになりたかったのに、マスクに匿名掲示板(現・5ちゃんねる)のようにされてしまいそう」という内容を複数のユーザーが投稿しているのを目にした。

 興味深かったのはこのような内容に対する反応で、共感する反応もあれば、Twitterは匿名掲示板のような雰囲気だからこそいいのだ、と反論する反応もあった。

 巨大SNSとなったTwitterは、それだけ多種多様なユーザーを抱えており、公開アカウントは全世界に対して開かれていながら、同時にフォローや「クラスタ」でつながる狭いコミュニティーによってそれぞれのユーザーの使い方やモチベーションが異なるということなのだろう。

 今後のTwitterが、このような「多様性」を包摂するのか。それとも一部ユーザーには居心地の悪い場所となるのか。予測しづらい状況ではあるものの、Twitterが今も「やめたくてもやめられない」状態のユーザーを膨大に抱えていることだけは間違いない。