アップル並みの復活劇を遂げられるか?

 これらを見る限り、マスク氏は経営者として、至極真っ当なことを言っていると感じる。もっとも実現できるかどうかはまた別の話だが。とはいえ、前述したようにマスク氏の過去の実績や時に強権的な指導力からすると、向こう半年から1年程度で、かなりの改革を実現していきそうな予感もする。その結果次第で、一度は離れた広告主たちが戻ることもあるだろう。

 もちろん予断は許さないが、現在のTwitterとイーロン・マスク氏の関係は、かつてどん底にあった頃のアップルとスティーブ・ジョブズ氏のそれに似た状況ともいえる。アップルのときには、当時のギル・アメリオCEOがリストラの大鉈を振るったので、その点では直接手を下したマスク氏のほうが分の悪いところもあるものの、こうした状況下では合議制ではなく1人のリーダーの判断で物事を進めるほうが効果的な場合も多い。

 何より、6兆円といえば日本の防衛費と同等の金額だ。それほどの大金を私費でTwitterに注ぎ込んだイーロン・マスク氏が、そう簡単に引き下がるとは考え難い。テスラ・モーターズが危機に陥ったときにも、自身の資産の大半を費やして窮地を脱したマスク氏は、大きなリスクを取ることを厭わず、リスクを取るからこそ成功があると信じている。

 問題は、分刻みのスケジュールで仕事をこなし、CEOを務める各社を日ごとに回って執務している彼に、もう1社を割り込ませる余裕があるかどうかだが、最新の情報によれば、マスク氏はテスラ・モーターズとともにTwitterのCEOもいずれは誰かに任せたいと考えているとのこと。しばらくは新生Twitterを軌道に乗せることに尽力し、さらに別のビジネスを立ち上げる気でいるのかもしれない。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
写真2点目キャプション:「彼らを解雇したことは、まさに最大の過ちの一つだった」と投稿している→彼らを解雇したことは、まさに最大の過ちの一つだった」と投稿した……という体裁だが、この2人は解雇された社員を装うイタズラでマスコミを賑わせた人物。これは、それを逆手にとったマスク氏のジョークツイートで、裏返せば「間違った解雇はしていない」というメッセージになっている
(2022年11月19日 12:34 ダイヤモンド編集部)