変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

「何歳になっても老け込まない人」と「若くして老け込む人」の決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

何歳になっても活躍し続ける大学時代の恩師の言葉

 大学時代の恩師に言われたことで、強く印象に残っている言葉があります。

「大学教授として長く活躍するには、自分のやりたい研究だけをしていてはダメだ。時代のニーズに合わせて研究テーマを変えて、世の中に発信していかないといけない」

 その言葉のとおり、70歳を過ぎた今でも現役の研究者として変化しながら活躍し続ける恩師には頭が下がります。

 人生100年時代と言われている現代においては、変化しながら挑戦し続けることがとても重要なスキルと言えます

現状を改善するのではなく、未来を創造する

 ビジネス界やスポーツ界、芸能界においても、いつまでも老け込まずに長く活躍している人たちがいます。

 一方で、皆さんの周りにも、若くして老け込んでしまっている人たちはいませんか? また、高齢になっても後輩に道を譲らず、老害と言われてしまっている人たちがいることも事実です。

 では、老け込まない人たちと、年齢にかかわらず老け込んでしまう人たちの違いとは何でしょうか。

加えるものではなく、捨てるべきものを見極める

 老け込まない人たちは、過去ではなく未来を向いています。過去に蓄積したものを護って改善していくよりも、より良い未来のために過去を捨てて新しいものを獲得することを重視しています

 若くとも過去にこだわって老け込んでしまう人の「足し算思考」と、何歳になっても老け込まずに新しいことに挑戦し続ける人の「引き算思考」を下図にまとめたので参考にしてください。

 すでに獲得した会社での役割や人間関係、既存の仕組みからの既得権益などを捨てることは簡単ではありません。しかし、限られた時間の中で未来の創造に向けた活動をしていくには、不要なものは潔く断捨離していきましょう。

アジャイル仕事術』では、引き算思考の身につけ方以外にも、人生100年時代を生き抜くための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。