アマゾンの新規参入判明で
ペット保険が大競争時代へ
米アマゾン・ドット・コムが、損害保険大手のあいおいニッセイ同和損害保険と組み、ペット保険市場に参入することが明らかになった。
具体的な商品スペックや商品投入の時期は最終調整中だ。ただし、初期段階で描いていた22年11月中の商品ローンチからは遅れ、始動するのは来年となりそうだ。
ここで、ペット保険市場の概要を簡単に整理しておこう。
ペットの飼育頭数は約1600万頭(ペットフード協会)。1年以内の新規飼育者による飼育頭数は増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症がまん延する前の19年と比較して、2年連続で増加している。コロナ禍でステイホームを強いられたことがきっかけとなり、ペットとの生活に癒しを求める人々が増えていることが背景にあると考えられている。
それに伴い、ペット保険の収入保険料も伸びている。21年度の収入保険料は損保が867億円、少短が197億円となり、前年度比14%増の合計1000億円を超えた。少なくとも9年度連続で二桁成長を続けている。
ところが、ペット保険の加入率は12~13%とされており、まだまだ伸びしろがある有望市場なのだ。故に、損保と少額短期保険業者が入り乱れ、激しいシェア争いを繰り広げている。
市場シェアのトップ3は、アニコム損害保険とアイペット損害保険、ペット&ファミリー損害保険の損保3社。この3社で、実にシェア約70%を占める。中でも、約45%のシェアを誇るアニコム損保は、ペット市場を切り開いてきたパイオニアだ。
こうした有望市場のペット保険だけに、参戦する保険会社が相次いでいる。第一生命ホールディングスがシェア2位のアイペット損保を完全子会社化すると発表。さらにアフラック生命保険が、米ペット保険大手のトゥルーパニオンと合弁会社を設立し、23年4月に事業を開始すると表明している。
そこに、巨大IT企業であるアマゾンの参戦だ。アマゾンはあいおいと組むものの、保険業界の常識にとらわれない攻め方をしてくるのではないかと警戒する声が上がっている。その一方で、アマゾンが参入表明当初に描いていた戦略と契約獲得目標に対し、懐疑的な見方も少なくない。
アマゾンの思惑については、こちらの記事を参照していただきたい(参照:【スクープ】アマゾンがペット保険参入へ、あいおいニッセイ同和損保と共同開発で最終調整)。その上で、次ページでは、ペット保険業界がアマゾンに対してなぜ懐疑的なのか、また、その脅威についてどう考えているかを詳述していこう。