保険ラボ

業界全体に暗い影
相次ぐ少短への行政処分

 保険金1000万円以下で、保険期間が1~2年以内と、文字通り「少額」な保険金で「短期」の保険期間が特徴の少額短期保険。引き受けるリスク量の小ささから、通常の生命保険や損害保険とは違い、金融庁の認可ではなく、財務局への届け出で事業が開始できる。

 そんな参入障壁の低さから、生・損保業界からだけではなく、不動産や通信、インターネット業界からも、参入企業が相次いでいる。2021年度には、収入保険料は前年度比8%増の1277億円に達し、今後も成長が予想されている。

 ところが、その活況ぶりとは裏腹に行政処分が増加。22年に入ってからは、財務局はすでに3社に対して発出している。特に、そのうちの2社であるペッツベスト少額短期保険とユアサイド少額短期保険に対する行政処分は、少短業界全体に暗い影を落としている。

 ペッツベスト少短には22年9月1日、翌日から全ての業務を停止することと、「保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分」が出された。実質的な経営破綻といえる。

 ユアサイド少短に対しては22年9月15日、約6カ月間の業務停止命令が出されている。21年10月に中国財務局へ登録が完了してから1年も経たずに業務停止処分が発出されたとあって、業界内には衝撃が走った。

 両社ともリスク管理体制や財務、それを支える人材など、経営基盤を早急に整えることが急務。果たして2社の現状はどうなっているのか。また金融庁は処分続出の状況をどう捉えているのか。次ページで、2社に対する行政処分の経緯と現状についてまとめた。