マッチングアプリの沼にハマる44歳女性のリアル、お金・危険・結婚願望…「マッチングアプリをやってみると、『ここは魚(男性)がたくさんいる海だな』と思いました。今までの出会いを喩えるなら池……いや、違うな。コップの中で探していたと思います」とマッチングアプリ沼にハマる44歳女性は話す(写真はイメージです) Photo:PIXTA

沼とは何か? ある特定のことにはまったり、収集がやめられないことを「沼にはまる」と言います。アルコール、セックス、自傷、ギャンブルなど治療を要する「依存症」とは異なり、本人は満喫していて、周りにも迷惑をかけることもほとんどありません。ただ、その沼も浅いものからどっぷり深いものまでさまざま。そこで今回は、これまで500人以上を取材してきた著者が、実際に「沼にはまった人々」を紹介しながら、沼の正体を初めて明かす一冊『沼にはまる人々』から、マッチングアプリ沼について抜粋紹介します。「沼」は決して他人ごとではなく、あなたや近しい人の身近な問題ということが浮き彫りになるはずです。

婚活リングに上がれないまま30代半ばに

 2022年4月に、名の知れた女優(41歳)と一般男性との真剣交際が報道された。その出会いがマッチングアプリであることが公表され、40代以上にも一気にマッチングアプリは広まった。

 都内の金融関連会社に勤務する美紀子さん(44歳)もその1人だ。「それまでマッチングアプリに対して、若者がやるものであり、かつての『出会い系サイト』のように不快な思いをするはずだと思い込んでいたんです。それに、私はSNSもほとんどやっていない。『顔写真を出して危険では?』という思いもありました」

 美紀子さんのようなタイプの女性は多い。就職氷河期でやっと就職先を決めるも、ブラックな働き方で、5~6年が経過する。そして、28~30歳くらいに仕事が楽しくなると同時に余裕もでき、結婚を意識しかけるも、性的役割分担や女性のイメージに阻まれる。