強い株ランキング#3Photo:sakchai vongsasiripat/gettyimages

2023年3月期の上期決算の分析で注目したいのが、通期の会社予想に対する業績の進捗率である。なぜならば、今後急失速しない限り、高確率で業績の上方修正が期待できるからだ。特集『最新決算反映! 円安、インフレ、金利上昇に負けない 強い株ランキング』(全6回)の#3では、「来期も増益予想」など複数のスクリーニング条件を追加した「業績の上方修正」が期待できる企業を開陳する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

上期決算の進捗率が高い銘柄で
来期も増益が狙える企業を選抜

「上方修正の発表前に先回りして狙う」――。それを実現するためのデータを公開しよう。

 3月期決算企業の第2四半期決算が出そろった。5社全てが業績を上方修正した総合商社や、トヨタ自動車を除いて円安の強い追い風を受けた自動車のような堅調な業界もあれば、化学セクターのように期初予想に対して下振れした業界もある。

 足元の決算は明暗が分かれたが、投資において大事なのは今後の業績がどうなるかである。なぜならば「株価は半年先の業績を織り込んで動く」ことが多いからだ。

 会社予想に対して上振れするか、下振れするかの参考になるのが「進捗率」である。進捗率とは会社が発表した通期計画の売上高や利益に対して、現時点でどれだけ達成できているかを表す数字のことだ。

 日本の上場企業の60%以上を占める3月期決算企業の場合、第2四半期(4~9月)、つまり今年度の半分が終了した時点で、50%以上の進捗率となっていれば好調な滑り出しと判断できる。3月期決算企業の第3四半期決算は来年1月末から2月中旬にかけて発表されるが、先回りして買っておけば、業績の上方修正による株価の上昇を享受できる確率が高い。

 とはいえ、今期予想が上振れしたとしても、「来期が減益」では積極的には狙いにくい。上期決算が終わると、市場は来期業績も見据えていく。今年は「円安」や「コロナ禍からの回復」など例年と違う追い風もあった。

 そこで作成したのが、次ページの複数の条件を組み合わせた「来期も好業績を期待できる高進捗率株ランキング70」である。単純に進捗率で並べたのではなく、アナリストの意見も取り入れながら、「来期の市場予想が増益」など複数の条件を付けて精度を高める工夫をした。

 ランキングには鉄道やホテル、エンターテインメントなどリオープニング関連が目立つ。外国人観光客の入国基準の緩和はまだ始まったばかりで、今後も業績回復を期待できる企業が多い。

 実力が正当に評価される前に「先回り買い」をするのは投資の醍醐味でもある。すでに株価が上昇を始めた企業もあるが、新型コロナウイルス感染拡大前と比較すると上値余地は十分にある。ぜひチェックしてほしい。