高インフレ下の政策「不協和音」、コロナ後も続く財政・金融政策の緊張関係Photo:123RF

コロナ発生直後の財政政策
速いスピードでの決断と執行

 コロナ禍との闘いは依然続いている。経済政策の運営においても、コロナ発生直後の経済緊急停止という急性症状への対処は終わっても、需給ミスマッチとウクライナ戦争の組み合わせがもたらした高インフレという後遺症がしぶとく残る。

 コロナ発生直後の世界経済の落込みは、国際金融危機の時を遥かに上回り、大恐慌に匹敵する規模だった。それに対する政策当局の対応も素早かった。金融危機への対応の反省もあって、大胆な金融緩和と財政発動に躊躇なく踏み切ったことは、世界経済のV字回復を可能にした。

 特に財政面での大盤振る舞いは前例のないもので、G7諸国の財政赤字のGDP比は、短期間で▲2%から▲16%超へと急拡大した(図表1)。これは、国際金融危機時の規模(▲2%⇒▲8%)とは比べものにならず、決断と執行のスピードも速かった。

 経済急停止への対応として有効であった財政政策だが、短期間で慌てて発動したものだけに完璧なものではなく、事態が落ち着くに連れて政策検証も徐々に始まっている。