Uターン就活で「逸材入社・募集増加」の好循環が生まれた5つの理由地方企業への就職のイメージが変わってきた背景には、何があるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2023」の「親子で考える本当に良い会社」を転載したものです。

地方の実家に戻って地元企業に勤めるUターン、実家近くの地方都市で就職するJターン、出身地以外の場所で働くIターンが増加傾向にある。情報が少ない地方企業への就職は、転職サイトを活用する方法もある。(取材・文・撮影/嶺 竜一)

コロナ禍で「地方企業」への就職が人気に
求人数は過去最高、募集条件も改善

「コロナ禍で親や友人になかなか会えなくなり、実家近くに帰りたいという思いが強まった。リモートワークが広がり都会にいる意味が薄れた。生活費の高い都心で苦労するより、実家に住んだ方がいい。こう考える人が増えている」

 地域企業と求職者のマッチングに多くの実績とノウハウを持つヒューレックスの社長、松橋隆広氏はこう指摘する。同社は、全国270の金融機関と提携して地域企業に伴走し求人案件を受託する人材紹介会社。地方での生活を希望する転職者だけでなく、新卒者にとっても有効な情報源だ。

 確かに、地方には仕事がない、給料が低い、福利厚生も十分でないというイメージがある。しかし今日、「地域企業の求人数は過去最高水準にあり、募集条件も良くなっている」と松橋氏は言う。

 地方の求人状況が改善している背景には、複数の要因がある。

 まず、「海外進出した企業の日本回帰がある」(松橋氏)。経済成長が著しい中国などアジア諸国の人件費が上昇する中、最近では円安傾向が続き、例えばかつて海外に移転した工場が日本の地方都市に戻ってきている。

 そうした工場では、現場の社員に加え、製品開発や生産管理にも優秀な人材が必要となり、それに見合う待遇で採用を強化する。