逸材の入社で成長し
募集増加の好循環へ
また、「大企業による地域企業のM&Aも増加している」(松橋氏)。大企業が地方進出する際、近年では人材確保が難しいため、地場企業をM&Aするケースが増えている。その場合、勤務体系、給与、福利厚生などの制度やシステムが大企業並みに刷新され、生産性が上がり、さらなる成長に向けて新卒採用枠も拡大する。
1963年生まれ。青森県出身。2003年ヒューレックス、13年マリッジパートナーズ、16年事業承継推進機構を設立、各社の社長に就任し現在に至る。
そして、地域企業の多くは後継者問題を抱えるが、例えば首都圏の大企業で仕事を学んだ子息が戻って後を継ぐ場合、新陳代謝を進めるべく、経営幹部、ミドル、若手、それぞれの人材採用に力を入れる。
研究開発型ベンチャーも、地方で増加傾向にある。営業などがリモートで行えるようになり、地元にとどまるケースも多い。
大学発ベンチャーに投資する国立大学系ベンチャーキャピタルも活発だ。例えば東北大学ベンチャーパートナーズは二つのファンドを設立し、2022年10月現在36社に投資している。
自治体支援、税制優遇、金融機関のサポートなどで事業環境は向上し、研究開発型ベンチャーは、優秀な即戦力人材はもちろん、将来を担う新卒の採用にも積極的だ。
「企業の雇用条件が良くなり、優秀な人材が入社し、事業が伸びて、また人材募集する、という好循環に入っている。子育て支援やワーク・ライフ・バランスなど働き方改革も進み、職種、場所、働き方など選択肢が広がった」(松橋氏)
前節で述べたように地方自治体や商工会議所、ふるさと支援センター、さらには人材紹介会社のサイトを活用すると、地方でも成長を続ける中堅企業を見つけることができる。本誌では、「働きがいのある、大企業ではない地方の中堅企業」という編集部の依頼に基づいてヒューレックスが推薦する50社を取り上げた。消費者としてなじみのある企業も多いのではないだろうか。