*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2023」の「親子で知っておくべき就活最前線」を転載したものです。
アフターコロナが見え始め、新しい生活様式が定着しつつある。一方で国際情勢不安、円安、物価高により、企業は先行きに不透明感を抱く。就活戦線を戦う学生と親は、どんな指針を持てばいいのか。まず必要なのは、就活・採用の状況を正確に把握すること。そして一歩先の未来を見据えて動くことだ。(取材・文/古井一匡)
23年卒は売り手市場が継続
2社以上の内定を取った学生も多い
リクルート就職みらい研究所の『就職プロセス調査(23年卒)』によると、2022年10月1日時点における就職内定率は93.8%と前年を1.4ポイント上回った。大学生の内定保有企業数は前年同期とほぼ同水準。2社以上の内定を取った学生も多い(下図参照)
同研究所の栗田貴祥所長によると「進路を確定して就活を終える率(進路確定率)、内定や内々定の辞退経験がある率(内定辞退率)も、高い水準で推移しており、全体に内定までのスケジュールが早まっている」という。
こうした状況を見ると、就活を取り巻く環境はコロナ禍以前に戻りつつあるといえる。そもそも今回のコロナ禍では、過去の就職氷河期やリーマン・ショック時ほど、採用は大きく落ち込んでいない。
コロナ禍が始まった21年卒については前年と比べて内定率が大きく低下したものの、さらに落ち込むとみられた22年卒では企業の採用意欲は意外に底堅かった。採用抑制後に深刻な人手不足に陥った過去の教訓から、多くの企業が前向きな採用姿勢を取ったためだ。