精神障害による労災請求件数、2300件超で過去最多

 自殺にまでは至らないものの、仕事によってメンタルへルスに不調をきたす人はさらに顕著に増加している。精神障害の労災補償状況を見てみよう。

 業務における強い心理的負荷により、精神障害を発病したとする労災請求件数は年々増え続け、19年に2000件を突破した。21年は2346件で、前年度に比べて295件増えている。労災支給決定(認定)件数においても、12年以降は500件前後で推移していたところ、20年に600件を超え、21年は629件と増加の一途をたどっている。

 精神障害の出来事別の支給決定件数では、最も多いのが「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」、次いで「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」となっている。先に見た、勤務問題による自殺者が抱えていた大きな原因が「仕事疲れ」「職場の人間関係」であったことと、同様の傾向と言えるだろう。

 そしてやはり、年齢別で最も多いのは請求件数・支給決定件数共に「40~49歳」の層なのだ。

 なお、12年度から19年度までの精神障害の労災認定要因の男女別の分析では、男性では「恒常的な長時間労働」、女性では「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」「セクシュアルハラスメントを受けた」の項目が高くなっている。