仕事やプライベートの悩みを相談できない40代

 中堅どころとして多くの役割を期待され、管理職でありプレーヤーであることも多い40代は、業務上の負荷が大きく、過重労働になりやすい。また過重な労働環境が是正されない企業では、コンプライアンスや従業員の健康に関するリテラシーが低く、ハラスメントなどの複数の問題を抱えていることも多い。

 プライベートにおいても、子育てや親の介護、夫婦関係などの悩みが重なりやすい年代だ。人は複合的に問題が重なるとつぶれやすい。ひとつの問題だけなら何とか耐えられたかもしれない人も、複数の問題が重なることでメンタル不調や自殺につながりやすくなってしまうのだ。

 アメリカの海外ドラマなどで、「ちょっとカウンセリングに行ってくる」と、主人公がカウンセリングに行くシーンを見たことはないだろうか。欧米の学校にはスクールカウンセラーがいるし、夫婦の問題もカウンセラーを頼る。専属カウンセラーを抱える経営者も多く、カウンセリングは一次予防的にメンタルへルスを整えるための「ポジティブなもの」ととらえる文化がある。

 一方、そうした文化が全く根付いていない日本では、メンタルに不調をきたしてからようやくカウンセラーや専門家を頼ることになる。

 メンタルを崩したミドル世代はしばしば、「プライベートの悩みも含めて、相談できる場所がなかった」と心理士のカウンセリングで吐露するという。この世代は「責任世代」とも呼ばれ、さまざまな要求に応えなければいけない場面が多い。それゆえ、本当に助けが必要な時に、責任感からSOSを出すのをためらいがちだ。