企業は建前ではなく本気の改善を

 国や企業も、働く人の健康支援、メンタルへルス不調の予防対策に取り組んできているものの、不足がないとは言い切れない。15年には改正労働安全衛生法が、19年には働き方改革関連法案が順次施行され、ストレスチェックの義務化や産業医の権限強化が行われた。企業の健康経営の土台となる、産業保健体制を強化する動き自体は進んでいる。

 しかし、法令順守だけを目的としている事業場はいまだに多い。例えば、産業医を選任するだけのいわゆる「名義貸し」状態であったり、ストレスチェックを実施するのみでその後の職場改善につなげていなかったりと、本質的な改善に結びついていない現場も散見される。企業は建前ではなく、本気で職場の課題を的確に把握し、改善に向けた取り組みを進めるべきだ。

 個人としても、できることはある。自身のメンタルへルスに関心を持ち、心を整えるための方法を知っておくことだ。そうすることで不調になる前に、自身のストレスに気づき、休息や気分転換、自発的な相談などのセルフケアにつなげることができる。