日銀「緩和修正」で動く金利・為替・物価、それでも日本の“根本問題”は未解決Photo:PIXTA

日銀が金融緩和を修正
YCCの誘導金利上限引き上げ

 日本銀行が20日の政策決定会合で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)長期金利誘導目標の上限を0.5%に引き上げ、金融政策の修正に踏み出した。

 前回本コラム「日銀が金利を抑えても長期金利はすでに上限『YCC修正』は避けられない」で、「長期金利は実体的にすでに0.5%程度に上昇しており、あまり遠くない将来に日銀はイールドカーブコントロールを見直さざるをえなくなるだろう」と指摘した。まさにその通りの展開になった。

 日銀の決定で21日の国債市場は10年国債の利回りが一時0.470%と約7年5ヶ月ぶりに高水準を更新したが、これから金利は上昇し、為替レートは円高方向に動くと予想される。

 長期金利上昇は国債価格の下落を意味するので、日銀や民間金融機関が保有している国債の評価額が下落する。また住宅ローンの金利や国債による財政資金の調達コストが上昇する。

 こうした問題への対処が必要だと指摘したが、それは焦眉の急となった。

 他方で資源価格下落で輸入物価は下がっている。経済情勢が急速に展開するなかで、物価の動向も変わりそうだ。