ユニ・チャーム絶好調の意外な訳、「タイパ」志向が現代女性に刺さる写真はイメージです Photo:PIXTA

日用品企業においてユニ・チャームの業績の安定性、付加価値品シフトによる収益性が傑出している。2022年は原料高騰で業績不振が散見された日用品業界において、同社株価は12月14日に上場来高値を更新し、勢いが止まらない。その強みを端的に述べると、生活様式の変化を事業機会に捉えた商品戦略にある。中でも、現代女性のニーズを的確に捉え市場投入されたフェミニンケア(生理用品)が成長の機軸を担っている。(UBS証券アナリスト 川本久恵)

生活様式の変化を事業機会に捉え好業績

 2020年以降、新型コロナウイルス禍における企業業績は、回復期待と不安が依然として拮抗(きっこう)している。日用品企業は、日本を起点に中国展開を進めてきたため、日本の内需回復で業績復調の兆しがある一方、中国の事業環境も考慮する必要がある。

 中国事業はゼロコロナ政策の影響で不透明性が残り、行動規制による店舗販売不振などのため、売り上げのトップラインが成長することは楽観し難い。コスト面でも、中国地場ブランドによる競争激化、ECプラットフォームにおける新興勢の台頭という地殻変動が重なり、売り上げ確保のために有力なチャネルとマーケティングを強化すると費用がかさむ。12月以降はゼロコロナ政策が緩和され始めたものの、感染再拡大も伝えられている。

 このような逆境下、ユニ・チャームは20年12月期に続き21年12月期も過去最高の売上高・コア営業利益(IFRSの営業利益に含まれる非経常的な要因により発生した損益を除いた損益)を更新した。業績の安定性、付加価値品シフトによる収益性において同業他社と比べて傑出している。

 その強みを端的に述べると、生活様式の変化を事業機会に捉えた商品戦略にある。中でも、現代女性のニーズを的確に捉え市場投入されたフェミニンケア(生理用品)が成長の機軸を担っている。次ページ以降で、詳しく解説する。