活況に沸いた中国の電気自動車(EV)業界だが、2023年はやや勢いが落ちる可能性が高い。それでも市場規模で他国に大差をつけたトップの座を維持する見通しで、この点が世界的なEVサプライチェーン(供給網)の覇権争いに圧倒的な強みをもたらしそうだ。中国汽車工業協会(CAAM)によると、22年1~11月の同国のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など「新エネルギー車」の販売台数は600万台超と、前年の同じ期間に比べて2倍余りに増えた。今や中国で販売される車両の約4分の1がEVだ。同国は22年の世界EV販売でも半分超を占め、紛れもないEV大国となった。EVの草分けの米テスラは中国で好業績を上げているが、多くの地元メーカー、とりわけ比亜迪(BYD)も好調だ。中国の上海汽車、柳州五菱汽車、米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁の上海通用五菱汽車が手掛ける「宏光ミニEV」は、小売価格が約5000ドル(約67万円)からと低価格が受け、意外にも売れ筋になった。よりハイエンドでは中国の新興EVメーカー、蔚来汽車(NIO)や理想汽車(リー・オート)が発売した新モデルが、後からEV市場に参入した多くの外資系メーカーの製品をしのぐ人気を博している。EVは中国主要都市でのナンバープレート新規発行規制の対象外で、この規制もEV販売の押し上げ要因だ。
中国EV市場の2023年は減速、それでもなお強し
輸出が明るい材料
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