米国最大の都市交通システムのいくつかが岐路に立たされている。新型コロナウイルスが流行し始めてから3年を経てもなお利用者は低迷し、連邦政府の援助も底をつきつつある。オフィスはほぼ再開し、交通量も戻ってきたが、多くの通勤者は週に数日しか出社しない。そのため、地下鉄・バス・通勤電車は、特に月曜日と金曜日は定員を大きく下回る状態で運行している。利用者不足のため、従来の公共バス、地下鉄、鉄道の資金調達モデル(利用者の運賃と公的資金の組み合わせ)に疑問が生じている。米連邦公共交通局(FTA)によると、2019年の全国公共交通機関の営業利益は、平均して運賃が約3分の1を占めた。ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市では、交通当局が運営を支えるために緊急資金に頼り、予算の穴を埋めている。米議会は、2020年と21年に3回に分けて計約690億ドル(約9兆1000億円)のコロナ救済策を承認した。
米公共交通機関に危機、利用者減と犯罪増
地下鉄やバスの財源細りサービス維持も困難 悪循環に
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