中国はここ数年にわたる攻撃的な「戦狼外交」の軌道修正を図っており、米国の事情に精通する謝鋒外務次官を次期駐米大使に任命する見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。背景には、冷え込んだ米国との関係を安定させ、新型コロナウイルスへの対応などで低下した国際社会での中国の地位を回復する狙いがある。外務省の事情に詳しい関係筋が明らかにした。中国のこうした変化は外交人事の顔ぶれに現れ始めており、硬軟織り交ぜた敏腕のベテラン外交官を複数の主要ポストに任命している。謝鋒外務次官(58歳)は、同僚はもちろん諸外国の外交官からも、公平で安定した米中関係のパイプ役として手腕を評価されている。昨年11月には、注目を集めた習近平国家主席とジョー・バイデン米大統領の首脳会談の実現に尽力。さらに2021年には、カナダで拘束されていた中国人幹部の米国への身柄引き渡しを巡り、中国政府がカナダ人2人を解放する見返りとして、米政府が身柄引き渡しの要求を撤回することで関係国の合意を引き出すという複雑な交渉で仲介役を務めた。