業界の常識を覆す
商品が大ヒット
このように、成長市場で着実にシェアを獲得する「デオナチュレ/男デオナチュレ」。さらに特筆すべきなのは、「男デオナチュレ」の売り上げの増加だ。
「コロナ禍で外出が減ったこともあり、直近の男性制汗剤市場は過去の伸び率に比べて停滞しました。しかし、『男デオナチュレ』の売り上げは年々増加し、2022年は2018年比143%を達成。また、気温や天候の関係でどうしても秋冬は市場全体で売り上げが落ち込みます。具体的に言えば、春夏(3~8月)に比べて秋冬(9~2月)は約4割まで売り上げが落ちるんです。しかし、『男デオナチュレ』は春夏の約7割の売り上げを維持しています」
コロナ禍や秋冬でも、なぜ「男デオナチュレ」は選ばれ、買われ続けるのだろうか。その理由を井上氏はこう話す。
「端的に言ってしまえば、『男デオナチュレ』ユーザーは汗やニオイにシリアスな悩みを抱えている人が多く、季節に限らず年間を通して使用する人が多いからです。そのようなユーザーは、防臭力・持続力に優れたスティック剤型を選ぶケースが多いので、『男デオナチュレ』を買っていただけているということです」
また、2020年に新発売した「男ソフトストーンW ノンメントール処方」も売り上げ増を強力に後押しした商品だ。男性向け制汗剤の多くが配合しているメントールを、あえて配合しなかった。清涼感を全面に押し出す商品が多い中で、従来のセオリーからは考えられない商品であった。
「当社が調査したところ、約24%の男性が『メントールが苦手』と回答しました。多数派ではありませんが、少数でもそのようなニーズがあるならばと、制汗剤専門ブランドとしての使命感もあり商品化しました。『メントール無配合』を訴求した商品は他に存在せず、潜在需要を顕在化でき、それが人気にもつながっていると見ています」
その人気ぶりは同社の予想を大きく超えたものだった。発売した2020年から比較すると伸長率は180%(2021年)、245%(2022年)を記録した。