ロンドンビジネススクールで講演するリンダ・グラットン教授ロンドンビジネススクールで講演するリンダ・グラットン教授(2019年撮影) (C)London Business School

『LIFE SHIFT』『LIFE SHIFT2』を通じて人生100年時代の生き方を提唱したリンダ・グラットン教授が、新たに働き方に焦点を当てた『リデザイン・ワーク 新しい働き方』を出版した。新型コロナウイルス感染症拡大によって働き方が大きく変わり、自社や社員にとって最適な働き方は何か、その模索が続いている。企業経営者はどのように働き方を改革していくべきか、グラットン教授に聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

パンデミックがもたらした
「新しい働き方」

佐藤智恵:グラットン教授は著書『LIFE SHIFT』『LIFE SHIFT2』を通じて人生100年時代の生き方を提唱し、日本の読者にも大きな影響を与えてきました。今回、働き方に焦点を当てた『リデザイン・ワーク 新しい働き方』を出版した動機は何ですか。

リンダ・グラットン:私は『LIFE SHIFT』で日本の読者に広く知られるようになりましたが、もともとの専門分野は「働き方」なのです。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、私はこの世界的な惨事がどれほど私たちの働き方に影響をもたらすのか、つぶさに研究してきました。世界中の企業が新しい働き方を模索する中、学生や経営者からは「どのように働き方を改革していくべきなのか」といった質問を頻繁に受けるようになりました。こうした人たちの疑問にこたえようと、『リデザイン・ワーク 新しい働き方』を書いたのです。まさにパンデミックは働き方をリデザインするきっかけをもたらしたと思います。

佐藤:著書では日本企業の富士通の事例が登場します。なぜあえて、富士通のオフィス改革に注目したのでしょうか。