ハーバードビジネススクールのデイビッド・J・コリス教授は東京海上グループのグローバル戦略に注目している。日本企業では製造業が取り上げられることが多い中、サービス業を選んだ理由は何だったのか、また、東京海上グループのどのような戦略が研究に値したのか。コリス教授に聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
東京海上グループの
2000年代初頭以降のグローバル化推進に注目
佐藤 コリス教授は2020年12月、東京海上グループのグローバル戦略に注目した『東京海上グループ(A)』を出版されました。ハーバードビジネススクールの教材に取り上げられる日本企業は製造業企業が多いですが、今回、なぜ、あえてサービス企業を研究しようと思ったのでしょうか。
コリス 私は現在、日本企業のグローバル戦略について研究をしていますが、東京海上グループに興味を持った理由は主に二つあります。一つは「企業がグローバル化を推進していく際、どのように全社組織を再編していくべきなのか」「国外で買収した会社をどのように管理するのがよいのか」といった問題を授業で議論するのに格好の事例だと思ったこと、もう一つは、東京海上グループがサービス業であること。これまでコマツや日立製作所など多くのメーカーを研究してきましたが、日本のサービス業のグローバル化についてももっと研究したいと思ったのです。