JR東海の次期社長に、丹羽俊介副社長が就任することが決まった。“6人抜き”の異例のスピード出世となる。JR東海がトップの世代交代を急いだ背景には、何があるのか。新社長に課せられた経営課題に切り込みながら、トップ人事の裏側を解説する。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
「葛西氏の傀儡」社長に替わり
新社長は異例のスピード出世
国鉄分割民営化後に入社した世代が初めて社長に就任することもあって、今回のJR東海のトップ交代は、「世代交代」を強く印象付けるものだった。
4月1日に社長に就く丹羽俊介氏は総合企画本部長など王道の出世コースを歩んだ人物で、かねて本命の社長候補と目されていた。
現在、丹羽氏と同列のポストには年次が上の副社長が3人いる。同氏が出世レースで頭一つ抜けた昨年6月の人事異動までさかのぼれば、合計6人のライバルを追い抜いての社長就任ということになる。
丹羽氏が副社長に昇進してから1年足らずでの社長昇格は、社内外で驚きをもって受け止められている。「リニアの工事への同意を静岡県にお願いする立場なので、川勝平太知事との交渉役である社長は代えにくい。金子慎社長が続投するだろう」(JR関係者)とみられていたからだ。
JR東海の“皇帝”として君臨してきた葛西敬之・名誉会長の逝去から間もないタイミングで社長交代が実現した背景には何があるのか。
次ページでは、JR東海が経営トップの世代交代を急いだ理由を明らかにする。