大樹 鄧小平ですよね?

カイゾク そうだ。鄧小平は政治家だが、戦争で大きな功績をあげた軍人でもあった。そして鄧小平はその後のトップに江沢民、胡錦濤の二人を指名した。この二人はこれも戦争の実績のあった鄧小平から選ばれたということで、国民を納得させてきた。それに、鄧小平から後の時代に国はどんどん豊かになっていった。

 カリスマってやつだね。

大樹 そういえばフランスのナポレオンも、軍人としてのカリスマで皇帝にまでなったんでしたよね。

カイゾク ああ、そういう例は案外多くある。戦争で勝てば、国民にリーダーであることを納得させやすくなるわけだ。最近でも、小さな戦争で勝って、カリスマを得ようとしているリーダーたちがいる。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのクリミア半島を奪って、自分の人気を急上昇させた。中国のリーダーが台湾を攻め取ろうとしているのも、同じ理由だとわしは思っている。

 そんな理由で戦争するなんて、なんかひどいね。

カイゾク そうだな。そして、中国で近年リーダーになった人は、戦争に勝ち抜いたわけでもないし、そういうカリスマたちから直接選ばれたわけではない。国民にとってなぜトップとして認めないといけないのか、それまでのリーダーたちと比べてわかりづらい人だ。

大樹 それだと生活が悪くなれば、リーダーへの不満がたまるでしょうね。

 大樹は腕組みをして言った。

記者に銃を向ける国に未来はない

カイゾク ああ、それに民主主義をうたっている国でも、選挙でインチキをやる国もある。政府に反対する人を殺したり、牢屋に入れたりして、自分に都合のいいような結果にするんだ。例えばロシアでは、選挙の前に反対派をいろんな手を使っておさえこんで、立候補できなくするというケースが多く聞かれる。

 そんなことしたら選挙の意味ないじゃん!

カイゾク その通りだ。だが実際、そうやって高い地位にとどまり続けているリーダーは世界では結構多い。

 カイゾクは地球儀を触りながら話した。

大樹 でもそんな方法で選ばれた人を、周りの国はリーダーとして認めるのでしょうか? 国と国が仲良くするには、信頼関係が大事なのに。

カイゾク そう、そういうリーダーたちもまさにその不安を感じているだろう。だから、都合の悪いことはできるだけ世界の目から隠そうとする。外部に知られなければ、どんな悪いことをしても世界の国々から厳しい目で見られたりしないからだ。

大樹 それで、情報管理が必要になるわけですね。