総予測2025#96Photo by Masato Kato

建設業界は労働者の高齢化に加え、働き方改革に伴う残業時間の上限規制が適用され始めたことで、人手不足が深刻化している。建設業界「総本山」である日本建設業連合会のトップを務める宮本洋一会長(清水建設会長)は、人手不足の解消策について大胆な提唱を行なっている。特集『総予測2025』の本稿では、宮本会長のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

受注は過去最高ペースでも
建設業の倒産が増える

――2025年の業界展望は?

 建設需要は、堅調に推移するでしょう。日本建設業連合会の会員企業を対象にした受注状況によれば、24年は過去最高のペースで推移しています。

 しかし実はこれは、あくまで金額ベースの話。1件当たりの受注額が大きくなっているというだけなのです。仕事の量が過去最高なのかというと、決してそうではありません。ですから、この先もずっと見通しが明るいということにはなりません。足元では、建設業の倒産件数が増えています。

次ページでは、宮本氏が提唱する人手不足の解消策をつまびらかにする。その「切り札」として挙げる解消策は、日本社会ではタブーともいわれる大胆なものだ。また建設業界が陥りがちな、施主の言いなりで頭が上がらない「請け負け」体質に戻らないための心構えも解き明かす。