鉱山開発や首都移転で建機特需に沸くインドネシアでは、商社と建機メーカーが虎視眈々と商機を狙う。特集『建機 陥落危機 メーカー&商社“背水の陣”』の#2では、レンタルで同国内シェア1位の牙城を築いた三菱商事や、日立建機とのタッグで攻勢をかける伊藤忠商事の成長戦略を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
インドネシアは建機特需!
各社が市場に食い込み図る
総合商社は近年、建機ビジネスにおける投資を活発化させている。
ある商社関係者は「新型コロナウイルス禍からの需要回帰により、(建機分野は)おしなべて見れば堅調な収益を出している」と評価する。
中でも各商社が熱いまなざしを送るのがインドネシアだ。マーケットの魅力は枚挙にいとまがない。前出とは別の商社関係者は「インドネシアは『建機マーケット』の縮図かもしれない。国土が大きいし、島もたくさんあって土木工事があちこちである。資源も豊富で事業の単価が高いから利益率もそれに比例する」とうまみを語る。
ただ、インドネシアも当然一枚岩ではない。ある商社の建機部門のベテランは同国でのビジネスが一筋縄ではいかない事情をこう語る。
「(インドネシア進出は)そう簡単ではない。建機関連のご当地企業が無数にあり、(どことパートナーになるか)取捨選択が必要になる。それに、優良な企業は『日本企業が牛耳って勝手に仕事していいですよ』というスタンスではない。だからわれわれも気を使い、ローカルパートナーとの関係性を重視して慎重に進めていく必要がある」
そういった難しい事情はあるものの、各商社は長年の知見を生かし、インドネシア市場に食い込みを図る。
次ページでは、インドネシアの建機ビジネスで特に存在感を発揮する三菱商事、伊藤忠商事の戦略に迫るとともに、近年勢いに乗っている中国メーカーの進出にどう立ち向かうのかといった課題を明らかにする。