日本で初めてコーンフレークを製造、創業者のベンチャー精神を今に受け継ぐ

──日本で初めてコーンフレークやオートミールを製造した会社だそうですね。

戸部 1918年創業なので、最初の製造は、もう100年近く前になります。

 きっかけは、私の祖父が、国や北海道庁から「北海道の農産物を加工・貯蔵して流通できるようなものを作ってほしい」というミッションを受けたことです。米国のケロッグ博士が開発したコーンフレーク、オートミールや野菜の缶詰などの食品加工技術を欧米で学び、北海道の農産物を使って、製造を始めました。

日本で初めてコーンフレークを製造、創業者のベンチャー精神を今に受け継ぐ代表社員・戸部謙ルイス氏。1971年生まれ。パーソンズスクールオブデザイン卒業後、Hachette Filipacchi Presse S.A.やYves Saint Laurent S.A.S.などを経て、2005年に日本食品製造の代表社員に就任。INSEAD欧州経営大学院MBA

──当時の日本ではなじみのない食品だったと思います。

戸部 日本では売れないので、創業からしばらくは、香港やシンガポールなどアジアの英国領を中心に輸出していました。「日本食品製造」というちょっと偉そうな社名を付けたのは輸出先に日本製だとアピールするためです。輸出は徐々に減り、現在は、国内での販売が中心です。

──現在、どのような商品を?

戸部 コーンフレークやグラノーラなど加熱調理の必要がないコールドシリアル、オートミールのようなホットシリアル、スイートコーンなどの缶詰、この三つが事業の柱です。自社商品の製造販売の他、プライベートブランドの製造やレストランや製菓メーカーなどへの卸も手がけています。

──最も売り上げが多い事業は?

戸部 時代によって異なっているのですが、今はオートミールですね。食物繊維が豊富で健康やダイエットによいとコロナ禍で注目され、チャーハンやお好み焼きなど、オートミールのアレンジレシピもWebや本でたくさん紹介されるようになりました。それで弊社の商品の売り上げが急増したのです。業務用の売り上げが落ち込んでいたのをカバーできました。