さらに室内に入り、木製の窓枠を見ると、朽ちてボロボロになっていた。また、官舎が海に近いため、大量の塩が積もっていた。
「正直、こんなボロい家に住んだのは人生で初めてです」とこの隊員はぼやく。
自衛隊員の官舎には昭和の遺物であるバランス釜(湯沸かし器)がいまだに使われていることがあるが、時にはそのバランス釜を撤去して壁掛け式の給湯器が設置されることがある。しかし、この改修工事も安く上げるためなのか、ずさんなものが多い。次の写真がその例だ。
「もともとバランス釜があったせいか、浴槽と壁の間に隙間がありすぎて、どんなに対策してもコバエが湧き続けます」
そう悲鳴を上げるのは、こちらも九州の官舎に住む隊員だ。
悪臭や害虫を防ぐ排水トラップがない住宅では、衛生上の問題が起きる。実際、2003年には香港の高層住宅でSARSが集団発生したが、排水トラップがないため下水の臭気や飛沫や害虫が風呂の排水溝経由で上がってきたことが原因といわれている。コバエが湧き続ける官舎を我慢していては病気になりかねない。