老朽化した官舎の修繕費は
本当に使われているのか
自衛隊官舎の問題は、老朽化だけではない可能性がある。
自衛隊も含めた公務員官舎では退去時、入居者側の過失がある時は自己負担で修理する、もしくは修理費用を自費で支払うことが義務付けられている。
だが、関東圏の築50年以上の官舎に住んだことがある隊員は、次のように指摘する。
「官舎に2年間入居し、退去時には修理費として約20万円を支払いました。その内訳には襖(ふすま)張り替え費として約4万円が計上されていました。しかし、私は入居後すぐに襖は使わないまま、養生して保管していたので新品同様です。果たして、本当に張り替えたのか疑問です」
官舎の退去時の修理清算は管理人によって全く違う。昨年から経年劣化による修繕費は支払わなくてもよいという改善があり、入居者の過失がないと認められれば退去費用はかなり安くなった。しかし、明らかに管理や修理をされていないような物件でも退去時に多額の費用を請求される場合があるため、疑問を感じる人もいる。少なくとも明確な指標がないことは問題だろう。
いずれにせよ、官舎削減のために劣悪な環境のまま放置された住宅に住む自衛官は被害者ともいえる。国防という困難な仕事に就く自衛官に、平時の家族との暮らしぐらいは心地よく過ごせるようにできないものか。この国は自衛隊員とその家族に対してひどすぎるように思う。