日産自動車と仏ルノーの不幸せな結婚が新たな段階に入ったことで、希望がふくらむ一方、面倒な問題はまだ手付かずで残っている。日産とルノーは30日、不協和音の絶えないグローバルアライアンスの要である株式持ち合いを見直すと発表した。ルノーは保有する日産株の過半数を信託会社に移し、いずれ売却する。移管する株式に議決権は伴わない。両社とも相互の出資比率は実質的に15%となり、議決権もそれぞれ15%持つことになる。日産は出資比率の不均衡にかねて不満を表明しており、提携を主導したカルロス・ゴーン被告が2018年に逮捕されて以降は協業が進んでいなかった。両社がようやく前進したことで不透明感が晴れ、経営や財務、さらには株価も改善に向かう可能性がある。だがこれは想定外だったわけではない。協議が行われていることは昨年10月に大きく報じられていた。12月上旬には発表会のためにロンドンのホテルを予約していたが、予約はキャンセルされた。1カ月以上先送りされて実現した今回の発表でも、多くの疑問点が残った。