家庭内でお金の話をタブーにしない

 人にはそれぞれの金銭事情があります。家族のあるなし、持ち家か賃貸か、貯金はいくらあるか、借金はどれだけあるか、などなど。それぞれの状況に応じたマネープランを考えるわけですが、その金銭問題への対応を「貯金あるいは株式投資」をメインにしてきたのがこれまでの特徴です。それは先ほど説明した「第2期大人期の蓄えを第3期老人期へ回す」発想です。これに対して、「第3期老人期もフリーランスとして働きましょう」というのが本書の主張です。

 これまで:第2期サラリーマン時代の蓄えを第3期に回す
 本書の主張:第2期はサラリーマン、第3期はフリーランスとして働く

 第3期老人期にも働くことができれば貯金はその分少なくてすみます。「老後の生活貯金+退職金年金+フリーランス収入」と考えれば、それほどの収入を稼ぐ必要はなく月に数万円で十分という人が多いでしょう。

 定年後も働くとして、いつまで働くかは本人と家族の事情によって決まります。子どもの教育費や住宅ローンの返済が残っている場合、働かざるを得ません。それがいつまでかは、子どもが生まれたときの年齢、そして住宅ローンを組んだときの年齢によって決まります。

 たとえば私には3人の子がいますが、最後の息子が生まれたのは私が40歳のときです。ということは息子が大学に行って卒業する22歳のとき私は62歳。40+22=62。正直に白状しますと40歳の私はこの足し算をしていませんでした。「息子の大学の学費を払い終えるのは62歳」だと理解していなかったのです。

 子どもができて家族が増えると住まいが手狭になり、新居への引っ越しや購入を考えます。現在、日本人の初婚平均年齢は「30歳」。結婚して数年後に子どもができ、その数年後に住宅購入するなら「30代後半」のタイミングが多いでしょうか。たとえば38歳で25年ローンを組んだら返済終了は63歳です。38+25=63。この足し算をわかってローンを組んだ人がどれだけいるでしょう? ほとんどの人は「63歳で働かねばならない自分」のことを想像していなかったはず。そして63歳をめぐる雇用の状態がどれだけ厳しくなっているかについても。