窃盗や器物損壊
業務妨害罪の可能性も

 それでは、それぞれの行為は刑事・民事でどれぐらいのペナルティーが科せられるのだろうか。

 まず刑事だが、他人が注文したすしを食べたはま寿司のケースでは、その客が1貫を取られたことに気付かずお皿を取ってしまった場合は客が、おかしいと気付いた客がお皿を取らなければ店が、被害者となり窃盗罪(刑法235条)に該当する可能性が考えられ、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。

 わさびを混入したり、一度取ったお皿を戻したりする行為、しょうゆ差しの注ぎ口をなめ回したりする行為は、器物損壊罪(刑法261条)の可能性がある。同罪は「他人の物を損壊・傷害」することが前提だが、実際に壊さなくても心理的に使用できなくしたり、その価値を低下させたりする行為も損壊とみなされ、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料となる。

 そのほか、動画が拡散した結果について偽計業務妨害罪(刑法233条)か威力業務妨害罪(同234条)に問われる可能性がある。いずれも「他人の業務を妨害する」点で一致しているが、特徴としては偽計が「不可視的」、威力が「可視的」に妨害する行為と解釈され、両罪とも3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。

 もちろん、複数の罪に問われる可能性もある。加えて当事者だけでなく、撮影や動画を拡散したり、一緒にいてけしかけたりした仲間も、共犯や幇助(ほうじょ)として刑事責任が問われる可能性も考えられる。