本当のことを言えば、インターンシップのプログラムで学生から出るアイデアは、おおむね実際の仕事の場で通用するものでないことがほとんどです。そうした未経験者が出した未完成なものに対し、社員が「実際に働く自分たちはこんなにすごいんだ」とマウンティングするのではなく、「こうするともっとよくなる」とアドバイスが返ってくるかどうかで、働く環境が見えてきます。欲を言えば、ワンデーや半日ではなく、複数日程のプログラムであれば、よりわかりやすいでしょう。

 入社したら、OJTであなたに直接仕事を教えてくれるであろう若手社員はもちろんのこと、管理職にいたるまで、どの年齢層もフィードバックができる体質であることが、いい企業だと言えます。そして、接した「点」で企業を見るのではなく持続的な「面」で企業を見られるのが、インターンシップの本来の姿です。

企業はインターンシップで
選別される時代に

 最近のインターンシップには、ただ学生を集めているだけで、自社の広報や労働力の獲得を目的とした場でしかないようなものも多く見受けられます。もちろん学生がお客さん気分でいればいいという意味ではなく、企業が学生を選ぶ場である一方、学生も企業を選ぶ場だということを忘れないでほしいのです。

 私は、もはや企業にとって、学生をたくさん集めて優秀そうな人を選ぶという時代は終わったと考えています。企業は学生にフィードバックしたうえで、そのフィードバックの質で学生からも選ばれる時代です。

 これは2025年卒の夏のインターンシップからルールが変わることで、より顕著になるでしょう。平たく言えば、企業がインターンシップで得た学生の情報を正式に採用選考に利用することができるようになる一方、インターンシップ開催のハードルが高くなると考えます。

 具体的には、これまで企業が「インターンシップという名目」で開催していたプログラムが、開催条件によって4つのタイプに分けられます。ワンデーや半日など、開催期間が短く企業説明会に近い2つのタイプに当てはまるイベントは、正式には「インターンシップ」と名乗れなくなります。

 インターンシップとして学生を集めることができるのは、就業経験を伴う5日以上開催のものなど、指導要件がある2つのタイプのみです。このルール変更により、インターンシップは学生が企業のフィードバックを質で選ぶ場になり、企業がふるいにかけられる大転換期になると考えられます。