2024卒の就活が、年明けからいよいよ本格化する。企業や大学で数々の講演を行う就活情報のエキスパート、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活最前線の情報や知見をお伝えする連載の第1回。23年卒の就職活動の総括と、24年卒の見通し・トレンドについて語る。
企業規模によらず採用意欲が
旺盛だった23年卒の就活
まずは、2023年卒の就活状況を振り返ってみましょう。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、2023年卒の大卒求人倍率は1.58倍と、前年から0.08ポイント上昇しています。コロナ禍も3年目に入り、企業もコロナ禍を前提に採用活動を行う素地ができつつあり、採用意欲は回復傾向にあります。
企業規模別に見ても同様で、300人未満は昨年と同水準、300~999人、1000~4999人の企業では上昇しています。5000人以上の企業だけ微減していますが、これは企業の求人総数は増えたものの、希望する学生も増えたためで、求人意欲自体は旺盛です。
内定の早期化
採用活動長期化が顕著に
企業の内定出しの開始時期は早期化しており、3年生の2月、3月に山があります。内定率のデータをつぶさに見ると、政府が示す就職活動のスケジュールである採用選考開始となる6月1日までの月間の内定率は、23卒では、2月から6月1日までのすべての月で2017年卒以降、最高値となり、早い時期から内定が出されている年だったと言えます。
理由は2つあります。ひとつは、コロナ禍が落ち着きつつあり、企業が今後の労働人口減少を見据えて若い人を獲得したいという意欲が高まっていること。もうひとつは、オンライン化で企業の採用が効率化したことが挙げられます。就職活動の開始時期が前倒れたわけではないですが、採用プロセスを早く進めることができたため、内定を出すタイミングが早くなっているのです。これは、企業規模や業種に関係なく全般的な傾向です。
採用マーケットが売り手市場気味になる中で、企業の採用充足の見通しは不透明で、前年と比べ採用活動期間は延びる見込みです。
学生の就職活動の長期化も顕著です。初めて内定を獲得した時期と、就職を決めた企業から内定を獲得した時期を分けて学生に聞いた調査では、前者のピークが4月だったのに対し、後者のピークは6月でした。学生からの志望度が高い大手企業の内定は、6月の解禁後に出ることが多いため、早くから動いている学生も、結局大手の内定時期を待つことになり、6月くらいまで就活を続けているからです。就活が早くから始まり、しかも長期化することで、学生にとってはより負担が大きくなっている可能性があります。