インターンシップは単なるルートの一つ
採用のほとんどは本採用から
さて、インターンシップの選考に受かるためにはどういう対策をすればよいのでしょうか。それはあなたが、プログラム内でアウトプットできる人間だと示す、つまり今考えていること、思っていることを出力する練習をすることです。
あなたは参加したい企業について、説明会動画や、公式の資料を見て、いろいろな情報を得ているはずです。その企業がどういう目的で事業活動しているかは最低限知っていることを前提とし、「自分はその先を知りたい」「自分の得意なことや性格を生かして、インターンシップ・プログラムでこういうことができると思うので参加したい」と、きちんと自分の言葉で表現できるように練習することが近道です。
ただし誤解してはならないのは、インターンシップの選考に落ちたからといって、希望する会社に入れないわけではないということです。インターンシップはあくまで企業を知るための手段であり、内定に至るルートの一つに過ぎません。早い時期に開催されるため、学生にはそれが採用のメインルートのように見えてしまい、「インターンシップに参加しなければもう採用されない」と悲観しがちですが、選考で一喜一憂するのは現実的ではありません。
実際、企業がインターンシップの参加者から新卒を採用する割合は多くて3割に過ぎず、本選考から採用する割合のほうが圧倒的に多いのです。一部に「新卒採用は全てインターンシップを通じて行う」と公言している企業はありますが、ほとんどの企業はインターンシップだけで人材を賄うことはできません。
確かに、従来の新卒一括採用はある意味非効率なプロセスでもあり、企業にとってある程度の人数をインターンシップから採用できることは効率的かもしれません。ただ、採用の入り口だけいじればいいというわけではありません。人事制度や評価制度も含めた人事政策の全体的な見直しの中でインターンシップの扱いを決めなければ、企業、学生双方にとって幸せな採用とはならないでしょう。
実は企業側でさえも「落とした学生が自社を受けなくなってしまったら困る」と公言しているほどです。その意味でも、企業にはインターンシップに落ちても自社に興味がある学生をどのようにフォローするかが問われていると言えます。
インターンシップに100人の枠があったとして、101番目の人がその企業にぴったり合うかもしれないのですから。また、「インターンシップからの採用組は特待生」といった序列化が職場で起きないように配慮が必要であることも、企業は認識しています。
いろいろ不安なことが多い就活で、インターンシップに参加すること自体が大きな目的になってしまいがちなのは仕方のないことですが、今回お話したように、「インターンシップはあくまでルートの一つであり、企業を見極める場」という視点を持って、取り組んでほしいと思います。
(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)