肝がんの薬物治療には分子標的薬などの新しいタイプの薬が使われており、近年は治療選択にさらなる変化が起きた。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#34では、肝がん治療薬の処方患者数ランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
2位に「レンビマ」
治療選択がさらに変化
肝がんの薬物治療には、分子標的薬などの新しいタイプの薬が使われている。従来の化学療法では正常な細胞も攻撃してしまうのに対し、分子標的薬はがん細胞をピンポイントで攻撃できるからだ。
では、病院など医療機関でどんな薬が選ばれているのか。ダイヤモンド編集部は、医療情報サービスを手掛けるメディカル・データ・ビジョン(MDV)とDeSCヘルスケアのデータを基に肝がん治療薬の処方患者数ランキングを作成した。
2位と9位にはキナーゼ阻害薬と呼ばれるタイプの分子標的薬がランクインした。
手術などで切除ができない肝細胞がんにおける薬物治療では、最初の段階から分子標的薬で治療を行っており、9位の「ネクサバール」(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)が長年使われてきた。
2018年になると、ネクサバールと同じキナーゼ阻害薬で、1次治療(最初に行う薬物治療)としては約10年ぶりの新薬となる「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)が登場した。この新しい薬が処方患者数を伸ばし、ランキングで2位となった。
20年にはさらに治療選択に変化が起きており、6位に新世代の薬がランクインした。次ページでは、肝がん治療薬の処方患者数ランキングを公開する。