選ばれるクスリ#33Photo:©Eggy Sayoga/gettyimages

大腸がんの治療は、個々の患者に合った治療を行う個別化医療が進んできている。病院など医療機関ではどんな薬が選ばれているのか。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#33では、大腸がん治療薬の処方患者数ランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

大腸がんで進む個別化医療
遺伝子変異の有無で薬を選択

 がんの薬物治療では、がんの原因となった遺伝子変異に効果があるように作られた分子標的薬で治療する、プレシジョンメディシンが進んでいる。プレシジョンメディシンは、個々の患者に合った治療を行う個別化医療の一種。従来の化学療法では正常な細胞も攻撃してしまうのに対し、分子標的薬はがん細胞をピンポイントで攻撃できる。

 大腸がんでもプレシジョンメディシンは進んできている、RAS(KRASおよびNRAS)やBRAFV600Eなどがんに関わる遺伝子検査を事前に行うと薬を選択しやすい。遺伝子変異の有無によって、個々に合った分子標的薬が選べる。

 2020年末には、BRAF遺伝子に変異がある場合は、2次治療以降で「メクトビ」(一般名:ビニメチニブ)、「ビラフトビ」(一般名:エンコラフェニブ)、「アービタックス」(一般名:セツキシマブ)という分子標的薬3剤を併用する治療、またビラフトビとアービタックスの2剤併用を行うことが承認された。

 大腸がんの薬物療法には、手術での治癒が難しくて切除ができない進行・再発大腸がんに対する治療と、再発予防を目的とした術後補助療法の二つがある。この薬物療法は1次治療、1次治療の効果が低下したりすると別の薬で2次治療、2次治療で効果が出なければ3次治療へと移っていく。

 では、病院など医療機関ではどんな薬が選ばれているのか。次ページでは、大腸がん治療薬の処方患者数ランキングを公開する。