植田新総裁の金融政策の展開
審議委員時代の行動から占う
黒田東彦日銀総裁の後任として、経済学者の植田和男氏を起用する政府案が国会に提示された。
国会で所信聴取、質疑を経た上で同意を得る段取りだが、植田総裁が誕生した場合、日銀の金融政策はどう変わるのか。
植田氏が日銀審議委員時代の発言などから判断すると、マイナス金利政策や量的緩和政策については距離を置き、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)継続にも懐疑的だ。
当面、緩和政策は維持するにしても、マイナス金利政策などの枠組みの修正はやろうと思えばできる。しかし安定的に2%の物価目標を達成していないと判断しているうちは難しい。
このところの物価の動向を考えれば、日銀が物価見通しを修正、2%物価目標の達成を宣言し、金融政策の枠組みを変更していくという道筋が考えられる。