回転ずし大手「スシロー」の店内で迷惑行為をする動画が拡散し、他の飲食チェーンでも同様の被害が相次いで発覚するなど大きな問題となっている。今回は、こうした迷惑行為が起こった原因を解説するとともに、回転ずしで迷惑行為を完全になくすための対策を提案したい。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)
回転ずしに悪質ないたずら
“テロ行為”が続出
最近、回転ずしを中心に、利用客が迷惑行為をした動画がSNSで拡散され、その悪事が次々と露呈し大きな社会問題になっている。
これは迷惑行為の動画を撮影した後、グループ内のSNSだけで閲覧するはずだったものを手違いで不特定多数に誤送した、あるいはまた、グループ内だけに送ったはずが、その意識が希薄な仲間が転送しまうことでグループの外にも広がってしまった。その結果、一般公開されているSNSにも投稿されて知れ渡ってしまったというものもあるようだ。そのため、仲間内だけでいたずらを行い、映像に記録されていないものもあるはずだ。それらを含めれば、我々の目には届いていないだけで、もっと多くの“テロ行為”があるのではないだろうか。
これまで飲食業界では人手不足もあり、多くのチェーン店でITを駆使してオペレーションの効率化を行ってきた。
特に回転ずしはその先端を走っていた。予約管理システムに始まり、タッチパネル(タブレット)による料理の注文から配膳のテーブルマネジメント、そして会計業務まで一気通貫で行うDX(デジタルトランスフォーメーション)化を実現していた。
今では、客の前に一度も従業員が現れずに、客が入店から退店まで行う店さえある。一昔前、客から受けた注文を調理場に伝えるためにインターホンでやり取りしていた時代もあったことを考えれば、どれだけ進化したかがわかるだろう。ただし、この高度なシステムを導入するために、企業は高額な投資を行っている。
そして、この省力化は“性善説”を前提に実現されていたと言っていい。つまり、「従業員の目がなくても大丈夫だろう」という、企業側の顧客に対する信頼の上に成り立っていたということだ。
しかし、一連の“テロ”ともいわれるべき悪質ないたずら行為によって、この“信頼関係”は終焉(しゅうえん)を迎えたのである。