副業が
定年後の本業になり得ることも

 さらに、まだそれほど多くはないものの、最近では兼業・副業を認める会社も増えつつある。副業のメリットは、収入が多様化することであるのは言うまでもない。特に昨今のようにコロナ禍で廃業したり、事業を縮小したりする会社が増えてくると、会社員としての身分だって必ずしも安定しているとは言い切れない。

 夫婦であれば共働きを考えると同時に、勤務先が認めているのであれば50代に入ったら副業を始めるというのも一つの対策と言っていいだろう。

 それに副業のもう一つのメリットは、「60歳以降の仕事を見据えた準備になる」ということだ。できるだけ長く仕事をしたいのであれば、会社に残り続けることは難しいので、転職するかあるいは、フリーランスで自営業になるかを考えないといけないわけだが、それまでずっと会社員として働いてきた人が定年後にいきなり起業するというのは、ハードルが高いと感じられるだろう。

 だとすれば、焦らず、少しずつ副業を展開していきながら、定年後はそれを本業にすることを目指すということもできる。このように若い人ではなくある程度の年代、具体的には50代からの副業は、まず何よりも定年後を見据えた展開を考えておくべきではないだろうか。

 一般的にサラリーマンの場合は50代になってきてある程度先が見えてくると、急にモチベーションが上がらなくなる人が多くなる。しかしながら、50代だからこそ仕事を頑張るべきなのだ。それも会社の中での栄達を求めて頑張るのではなく、自分の専門性に磨きをかけてみるのはどうだろうか。きっと、新しい世界がそこから見えてくるだろうと思う。

(経済コラムニスト 大江英樹)