心優しい関心を持ってくれた相手に好感を抱くという心理は誰しも同じはず。
「なるほど、これだったのか!」と、こうしたことばを「第二のあいさつ」と名付けて実践してみたのです。
「おはようございます」の後に、たとえば「きのうは、最終バスに間に合いました?」というふうに、あなたのことを覚えていますよ、関心を持っていますよ、心を寄せていますよ、ということが伝わる心配りのひとことをつけ加えてみると、相手は心ひらいて「それがね」と話し始めるのです。
これを試しているうちに、少しずつ周りが変わってくるのが実によくわかりました。向こうから声さえ掛けてくれるではありませんか。
そうか、自分を受け入れてもらいたかったら、まず相手の立場に立ってみなければ。そう気づかされ、この必死の試みはコミュニケーションの土台ともいうべき貴重な収穫となったのです。
あなたのこころづかいが相手に伝わる
ここ数年、コミュニケーションのかたちが変わってきています。新しい発見も、もちろんあるでしょう。でも、私の実感としては、特にこの間に社会人になった方々、そんな若者たちを迎え入れた職場の人たちには、戸惑っている人が増えました。
会話は、常に「とっさ」です。だからこそ無意識に心のなかを見せてしまっています。
ただ、そうした自分の会話スタイル(癖)を客観視することは簡単ではありません。私が主宰するコミュニケーション塾で、生徒の方々に自分が話しているところを動画で撮って見てもらうと、ほぼ9割の人が「自分はもっとましだと思っていた」とガッカリしています。
今井 登茂子
定価1,650円
(朝日新聞出版)
「ちょい足しことば」は、そんなとっさの場面で思わず出てくるあなたの会話スタイルを磨き、コミュニケーションの「品」を高める強力な武器となってくれます。
ことばづかいは、こころづかい。そして、こころづかいこそ品なのです。
あなたの中にあるこころづかいをそのままにしないでください。
飲み込んでしまわず、この「ちょい足しことば」で相手に届けてください。
あなたの思いやりがこもったひとことは、無理なく相手の話を引き出すだけでなく、あなた自身の意見や言いにくいことも、やわらかく伝えることができます。
ちょい足しのひとことは、きっとあなたを助け、コミュニケーションの輪をひろげてくれると信じています。
※AERA dot.より転載