経済学者や経営学者、エコノミスト138人が選んだ経済、経営に関わる良書をランキング形式でお届けする特集『ベスト経済書・ビジネス書大賞2022』(全8回)。#3では、2位の『中小企業金融の経済学』の著者、植杉威一郎・一橋大学教授に、本書で解明したかった問い、中小企業金融の実態について語ってもらった。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
エビデンスに基づき
中小企業金融の実態を世に示す
2004年ごろから中小企業金融の研究を続けてきた。経済産業省での勤務時代に「中小企業白書」の執筆に携わったこともあり、エビデンスに基づいた中小企業金融の実態を、整理して世の中に示すことに意義があると考えた。
本書では、資金配分の効率性、政府の役割、貸出市場での金融機関の行動という三つの分野に大別して研究成果を紹介した上で、中小企業金融のあるべき姿を論じた。
これらの分野では、分かっているようでいて分かっていない問いが多い。「銀行は、雨の日に中小企業の経営者から傘を取り上げて、晴れの日に傘を差し出す」といった、テレビドラマでも取り上げられるような一般に共有されるイメージはある。