「朝マック」にはどんな人が
どんな価値を見いだしている?

 ここで「1→10」の段階について、マクドナルドの「朝マック」を例に考えてみましょう。

 たとえば朝10時30分までの「朝マック」を利用しているのはどんな人かといえば、明らかに通勤圏内や通学圏内にマクドナルドの店舗がある人たちです。朝の通勤途中や通学途中に店舗がないところでは、わざわざ食べに行く人は少ないです。「朝マック」に価値を感じる人は、少なくとも「通勤・通学経路にマクドナルドがある人」ですから、たとえば郊外で最寄りにマクドナルドがない地域に朝マックの広告を投じたとしても効果はないでしょう。

 このように、同じ価値を感じる人を見つけだすためには、今、価値を感じている人の何が、その価値とひも付いているのかを理解することが重要です。

 お客さまの生活圏や行動様式、価値観、特性、趣味などのうち、どこにその価値が関係しているのか。「朝マック」の場合なら、「生活圏」「通勤圏」「通学圏」が関係しているといえます。それに価値を感じて買ってくれているお客さまはどういうところに住み、どんな生活を送っているのか、そしてどんな価値観を持っているのか。目の前のお客さまを深く理解することが、「1→10」へスケールアップするための潜在的なお客さまの発見につながっていくのです。

 そのプロダクトの便益や独自性が何にひも付いているのかを発見したら、同じような生活圏に住む人や似たような行動様式を持つ人などをターゲット層とし、プロダクトを認知してもらうための訴求を行っていきます。

 たとえば、通勤圏や通学圏にマクドナルドの店舗がある人たちに対して「朝マック」を提案したい場合は、電車広告やバス広告が有効でしょう。また、通勤・通学時にスマホでよく見られているメディアへの広告投入や、家を出る時間に目にするテレビ番組にCMを投じる手もあります。就職サイトやビジネスニュースのサイトに広告を入れるのもいいかもしれませんし、人気の高いスマホゲームに広告を入れるという手もあります。

 そして、これらはすべてHOWです。WHOとWHATがわかれば、どういう人がお客さまになり得るかが見えてくるため、それを拡大していく方法(HOW)がいろいろ考えられるということです。