マンションの価格高騰と供給減で人気が高まる戸建て。その将来価格は維持されるのか?経済変動リスクと人口動態を基に、30年における戸建ての将来推定価格シミュレーションを駅別に行った。特集『高騰と金利上昇に勝つ!「マンション&戸建て」購入術大全』(全9回)の最終回では、その「関西圏編」を公開する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
経済変動リスクと人口動態から大予測
戸建ての資産価値を維持できる駅は?
マンションにおける価格高騰と供給減、さらにコロナ禍によって人気が高まる戸建て。マンションに比べると安定して推移していた首都圏の新築戸建ての平均価格は、2018年からにわかに上昇を始め、同年の3468万円から22年の4128万円へと、およそ20%も高騰している。
だが、その将来価格はどうなるのか。不動産価格はその時々の景気によって、大きく左右されることは言うまでもない。そこで今回は経済変動リスクに主眼を置いた、今から約7年後の30年における、1都3県と関西2府2県の戸建ての将来推定価格シミュレーションを駅別に行った。
シミュレーションでは、代表的な経済指標(日経平均株価、10年国債利回り、対ドル相場)の過去データに加え、30年の推計人口を加味して、最寄り駅別に一般的なサイズの木造戸建て住宅の価格を算出した。
そして、景気がほぼ現状のまま推移した場合の「平均シナリオ」、現在よりも上振れた場合の「楽観シナリオ」、逆に景気が後退した場合の「悲観シナリオ」という三つの推定価格と、30年時の土地代と減価償却した建物代を足し合わせた「積算価格」を凡例に従って掲載している。
中でも注目してほしいのは、悲観シナリオの推定価格(凡例(3))と積算価格(凡例(4))だ。(3)と(4)の価格を比較して、(3)の方が大きいならばリスクが低く、逆に③の方が小さいならばリスクが否定できない駅といえる。
次ページから、シミュレーションの「関西編」を掲載するが、結果を俯瞰すると、高級住宅地が多い近鉄奈良線各駅などで、ほぼ軒並みリスクありとなった。
戸建て購入の際に、少しでもリスクを避けるための参考にしてほしい。