また逆に言えば、筆記試験の出来だけで落とすような会社はやめたほうがいいでしょう。本来は、ESや面接などあなたの本質を知らせる手段が他にあるはずだからです。確かに筆記試験は就活の関門の一つですが、それが全てのように思っている人がいるのはもったいないことです。

英語ができるのと
海外との交渉能力は別

 TOEICについても同様です。想像すればわかると思いますが、「英語が話せます」と嘘をついて入社できても、英語使って仕事をする部署に配属されて困るのは自分自身です。企業によってはTOEICの点数を確認するところがありますが、職場で必要なのは取引きするための能力であり、それは時としてハードな交渉能力でしょう。そうした仕事が英語力だけで務まるはずはありません。TOEICの点数では交渉能力までは測れません。

 出題範囲が決まっているタイプの筆記試験やTOEICは、ある程度時間をかけて問題を解く練習をすれば、それなりの点数が取れるものです。これらの点数が高いということは、その人が決められた課題に対して、それなりに努力することができると証明するための材料・指標に過ぎません。言うまでもなく、会社で必要な能力はそうしたタイプの能力だけでありません。

 多くの企業は知的能力と性格の要素をチャートで表したときに、過去のデータと照合し、自社の傾向に合う特定の波形の人を採りたいと考えていることが多いです。そのため、どの角度から見ても平均的に成績がいい優等生タイプ、適正検査の結果が全ての項目で高いタイプが、必ずしも望まれる人材とは限らないわけです。

 就活中は不安なので「少しでも安心したい」「精神的な安定を得たい」という気持ちはわかります。束の間の安定は多少のメリットがあるかもしれません。しかし結局、その場しのぎの対策は精神的な安定にはつながり得ないのです。